白鳥 哲さんのタイトル

Interview

テンプル ──

映画を何本か撮って、ご自身の学びを深めたからこそつかめたものがあったんでしょうね。では『リーディング』を3年前にあらためて制作しようと決意されたのは、何故ですか? アメリカに取材に行って、アメリカと日本の現状2つを比べて、どう感じられましたか?

白鳥 ──

ケイシーの映画を撮ろうと思ったのは10年前です。最近、昔のノートをパラパラめくっていたらそこに『ケイシーの福音を伝える映画をつくりたい』と書いてありました。すでに『ケイシーの福音』 と書いていたんですね 。予言ではなく。

その時は、テレビ番組の企画でした。色んな番組を企画するにあたり、なぜかケイシーの映画を作りたいと企画書を書き、光田会長に会いに行ったのが10年前です。

テンプル ──

とはいえ、既に1998年は終わっていますし、予言者としてのエドガー・ケイシーをどういう視点で撮影しようと思われていたんですか?

白鳥 ──

ケイシーがなぜ未来のことを見通せたのか。彼のサイキック能力がどこから来たのかが知りたかったんです。それを追求するような番組にしたいなと思っていました。彼のサイキック能力を探る番組にしたいと思っていました。

テンプル ──

ケイシーの能力を通じて、人間は本来こういう能力を秘めている。そのことを伝える番組だったんですね。

白鳥 ──

彼の能力の秘密と、これからの時代をどう生きればいいのかが知りたかったんですね。それから7年ほど経った3年前、ケイシーセンターの光田会長と明治神宮にお参りする機会がありました。 その流れでセンターにも行きました。その時、本当に驚きました。ケイシーはこんな具体的なリーディングを残していたのかと。

その時は特に癌に関するリーディングの内容を伺いました。癌の原因は血液の劣化である、血液の酸素供給能力がなくなると毒素を排泄する力がなくなり、酸とアルカリのバランスが崩れる。言われてみると、確かにそうだなと。東洋医学でも血の汚れについて言っています。その内容が具体的で、しかもケイシーは対策としてまず食事を変えなさいと。例えばクレソンやパセリ、セロリを食べる。クレソンは水がきれいな所に育つから血液浄化になるのは理にかなった話です。当時、具体的に私の周りに癌の方がいたので、その方々にこの情報は伝えなければと思いました。

認知症の知り合いもいたので認知症についても色々聞きました。面白かったのは、認知症の原因の1つに、肉体とエネルギーにズレがあるということをリーディングが指摘していて、確かにそうだなぁと。生きる意欲がなくなると、肉体と魂のズレが起きてきます。そんなことも網羅しており、その内容が非常に科学的で合理的。具体的に、あの人とあの人とあの人にこれを伝えたい。選択肢の1つとして、ケイシー療法というのがあることを伝えたいと思いました。

しかも、それは「地球蘇生プロジェクト」の一環でもありました。 最初は短編で撮影しようと思っていました。ところが、撮影し始めるととても短編では収まらない。『祈り』という映画制作で、ホリスティック医学に関係するたくさんの方々から話を聞いていました。アメリカのホリスティック医学協会の創設者が、まさかケイシーリーディングを学んでその協会を創設したとは夢にも思っていませんでした。

米国にて

「祈り」がどれほど身体に影響し、治癒に関係するか調査してきたので、その研究がホリスティック医学から来ていることを知っていました。なんだ、だったら全部ケイシーのリーディングに含まれてるじゃないかと。『不食の時代』の映画を通じて、腸の毒素排泄の大切さも、腸から様々な疾患が現れることも知っていました。でもまさかケイシーリーディングで、腸をきれいにすること、断食が語られているとは全く知りませんでした。その前には『魂の教育』という映画を作りましたが、この映画は右脳教育の第一人者、七田眞先生と、右脳を開いた子供や大人たちを取材した映画でした。その七田先生のアイディアも、実はケイシーのリーディングから来たことを知りました。

七田では、五分間暗示法というのをよく行います。七田先生はケイシーを参考にしていたんですね。私の「地球蘇生プロジェクト」のビジョンは、ケイシーのリーディングに全部含まれていました。それは千年紀ビジョンという本の中にありました。分かち合う経済になっていく、肉体だけではなく魂や心を含めた教育になっていく、循環型農業になっていく、 それが全部リーディングに含まれている。それで、長編映画を作ることにしたんです。

テンプル ──

2015年にいきなりケイシーの映画を作ると決意し、あれよあれよという間に、映画の規模が大きくなっていったんですね。

白鳥 ──

2015年映画を取り始める前に私が経験したこと全てが結び付いてきました。2007年私は脳腫瘍になりました。耳が聞こない、舌が動かない、激しい耳鳴りや頭痛、吐き気など様々な症状が出ました。本当に生死をさまよいました。闘病の過程で私が何をしたかというと、意識の中にある情報を、全部許しに変えていったのです。

波動カウンセリングを映画で撮影していたので、意識の波動情報が実際に肉体に症状として出てくるのを体験していました。症状を生み出している意識をどれだけ手放し、波動を変えていけるか。自分で実際に体験し、肉体が治癒に向かったという経験をすでにしていました。

その経験がつぶさにリーディングに書かれていました。それまでの全ての自分の経験が結びついてきました。『リーディング』の映画の規模がどんどん大きくなっていきましたが、その10年前に、実は準備がなされていたんですね。

テンプル ──

学ばされてきた全ての過程が、この『リーディング』の映画の中で結実したわけですね。

白鳥 ──

これもリーディングに書かれていた。これも、これも、これもとリーディングを再認識するような3年間でした。

テンプル ──

1つお聞きしたいんですが、映画『リーディング』の予告編で、白鳥監督は「リーディングの成果はここ数年日本で現れている」と語られていますよね。アメリカではケイシーのリーディングを元にしてホリスティック医学協会が設立されていますし、早くからケイシーリーディングに注目し臨床に使われていたマクギャレイ医学博士、最近ではエリック・メイン先生もいらっしゃいます。ですから、ここ数年日本で・・・と言われた意味が分からなかったんですが、そう言われた意図を教えていただけますか?

白鳥 ──

もちろん、アメリカでもケイシーのリーディングを元にホリスティック医学が広がり、それによって病気を克服された方もたくさんいらっしゃいます。でも医療の現場で真面目にリーディング通りに真剣に取り組んでいるのは、ここ数年の日本だと思います。しかも結果が出ている。

アメリカで取材して一番知りたかったのはそこです。フィジカルリーディングを元にどれだけ成果が出ているか。それを話して欲しかったんですが、どなたも話して下さいませんでした。肉体の情報がアメリカで得られないんですよ。ケイシーのリーディングが肉体において、どれほど有益で具体的かの証言がないと、その先の心や魂の話まで行かないんですね。

テンプル ──

私はアメリカでケイシーの情報を研究している医師を何人も知っていますが、彼らも証言してくれなかったんですか。

白鳥 ──

あの手この手で聞きましたが、話してくれませんでした。話を横にそらされてしまい、肝心なことを聞き出せませんでした。医療の現場の先生方が証言してくれることが重要で、それが最大の説得力になります。

テンプル ──

アメリカは訴訟国家ですから、映画でそのような証言をして、あとで問題になることを避けたんでしょうか。

白鳥 ──

そうだと思います。そして日本に帰ってきたら、具体的な証言が次々と出てきました。実際に良くなった方々も証言して下さいましたし、皆さん、肌艶もよく蘇っていますよね。数年前までは、リーディングを調べようと思っても言葉の壁がありました。でもこの数年でケイシーのリーディングの一部が日本語で検索できるようになり、皆さん、まじめにそれを実践して結果を出しています。すべてこの数年間に起こった出来事です。

テンプル ──

そうですね。以前はケイシーが勧めている様々な器具も、自宅で使うには入手が難しく、ハードルが高いものでした。オオバコで作るクリームも、皆さんが自分で作れるようになったのもここ数年です。

白鳥 ──

日本語での情報が増えてきたので、実践しやすくなってきています。ケイシー療法が実用的だと伝えられるのはこの日本なんですね。ここにすごく深い意味があると思います。アメリカではなく日本であることも。アメリカで取材して私が感じたのは、 皆さんリーディングを原文で読めているはずですが、自分の都合のいいとこだけを選んでいる。出来ないところは飛ばしてしまう。リーディングを客観的にそのまま受け取るのではなく、独自の解釈を加えてしまう。

テンプル ──

私の友人でウィリアム・マクギャレイ博士の本を翻訳した人がいます。引用されているケイシーのリーディングが難解で、翻訳に行き詰まってウイリアム先生に「何ページのリーディングの意味が分かりません。教えて下さい」と電話したそうなんです。すると驚くことに博士の返事は「僕にも分かりません」。博士はケイシー療法の研究者でパイオニア的存在です。その先生が実はちゃんとは分かっていない。でも英語の本なら、意味は分からなくても、原文をそのままコピペ出来ますが、翻訳家はそれをなんとか日本語にしなければなりません。