入江富美子氏のタイトル

Interview

入江 ──

そして、手探りで映画を作り始めたおかげで、2006年5月に、映画の撮影の中で深いメッセージを下さっているへその師匠中山靖雄先生に出会いました。先生は目が見えなかったのに、その時、私の姿がわかったっておっしゃったんですよ。そして私に「あなた、へそが湧いたんだね?」って。え?そんなことがあるんですか?と驚きました。その先生の言葉で、あの瞬間のことが「へそ」が湧くということなんだと知ったんです。

中山靖雄先生と入江さんの2ショット

ある時、『へそ道®︎』の生徒さん10名くらいと一緒に中山先生にお会いしたことがあります。お別れを告げて、部屋を出ようと思ったとき「入江さん」と声をかけられたので、もう一度部屋に戻ったんです。すると「あなた、どうやって教えているの?」と聞かれて。「え?」とびっくりしていると「みんな、みたまの香りがするんだよ」とおっしゃってくださったんです。もう涙が出ましたね。

こうして、私の体験を先生に話すたび、それが何なのかを教えて下さいました。へその奥の奥に込められている通りに生きる素晴らしさは、宇宙に繋がっているんです。

映画を作るプロセスでは、その感覚やみたまの香りを頼りに、自分の中でつながりを取り戻し、調律するかのように過ごしてきました。ふと思わされたとおりに動いてみる。そして後からその答えを受け取る。そんな感じで、少しずつ、体験を通して腑に落としたり体感したりで、ここまで来ました。

自分の体を使って動いて、その感覚を自分のものにする。みたまを知ったら、あとは確認作業のようなもので、確信の道を踏み固める感じです。その感覚は「気のせい」や「気配」みたいなもの。その気配のような不確かなものを自分の中で大事にして動くことで、一人ひとり、各自が自分で少しずつその感覚を積み重ね、獲得していくんです。

みたまで生きるって決めてから18年。しょっちゅう見失っては、戻って「やっぱりそうだ、やっぱりこの感覚だ」という確信や気づきの繰り返しでした。もう興奮状態でした。しかし、こうして、年月が経ってみて思うのは、今思える「やっぱりそうだ」と言うのと、1年目の「やっぱりそうだ」は全然違うんです。2年目の気づきとも違う。だんだん、喜びの量も質も変わってきて、あー、あそこで止まらなくてよかったー!これを知らないで満足していたところだった、という連続です。

毎回「これで分かった!」と感動しますが、今の分かったことと比べたら「何で、あんなので分かったと喜んでいたんだー」って思うほどで、毎回が喜びの上書き保存中って感じなんです。

テンプル ──

みたまが深まれば深まるほどに、気づきも精妙で表現も抽象的になっていきそうです。

入江 ──

師匠は、みたまにも「段」があるっておっしゃっているんですよ。だから、みたまを知った、分かったで終わりじゃなくて、宇宙の果てが広がれば、果ての境界が変わるように、自分の意識が広がったら、みたまの果ても変わっていきます。そして、自分のみたまの果てが変わったら、ある日「あれ?」っていう不思議な感覚で、変化が分かるから嬉しいんですよ。そして、どんどん、みたまのことって人間には分からないんだってことが分かってくる。変化が勝手に訪れるんです。

私が道を歩いたら、草花が喜び、蝶々が肩に止るってことは何もないですよ。でもですね「自然は私のこと、大好きだ」って思えるんですよ。すごい思い込みでしょ。こんなこと思い込ませてくれるみたまさんってありがたいです(笑)

テンプル ──

私の好きなふーちゃんのエピソードで、旅行中、ツアーの皆さんと日の出を拝んでいたら、ふーちゃんが一人、その太陽に向かって「友達~」って手を振っていたっていうのがあります。「自然は私が大好きで友達だ」というのは究極の境地ですよね。その時のことを話してもらっていいですか?

入江 ──

ウユニ塩湖で、みんなで日の出を見ていたんですね。セレブレーションの生徒さんたちは、ありがたくて太陽に手を合わせて祈っていたんです。で、生徒の1人がそっと目を開けて私を見たら、私が、満面の笑顔で太陽に向かって大きく手を振ってたんです。「何をやっていたんですか?」と聞かれたから、太陽も私のこと好きだし仲良しだから手を降っていたよ、と答えたんですね。

ウユニ塩湖で万歳をする人々

私は「みたまが本体」って分からせてもらってから、ある時「あ、太陽もみたまが作ったものだ。じゃぁ、親が一緒なんだから仲間だ!きょうだいだー」って嬉しくて。そこから、尊敬を込めて「太陽って同じものからできているから、仲良しだし、友達だよね?」って言うようになったんですよ、みんなにね。

それからもう1つ、20代の頃、尊敬するシャーマンに教えてもらったことなんですけど、自分が意識を与えたものは意識のあるものとして返してくるという法則があるんです。私が友達として関係を意識したものは、友達として返してくれる。祝福をし合う関係だと思えば、祝福をかえしてくれる。私が神様だと思っていたら神様として返してくれる。

テンプル ──

だったら、ハエもゴキブリも猫も、全部友達っていう感じ?

入江 ──

そこまでの愛には生きてない(笑)。でも、全てが全ての元から生まれているとするなら、自分が意識してようがいまいが繋がっていると思うんですよ。そう思ったら自分がすごく歓喜の状態で「みたまが親なんだ」という喜びの中にいたら、虫も猫も太陽も「みたまが作り出したもの」として繋がっているんですよ。だから私、太陽以上に喜んでいこうと思っているし、誰よりも喜こんで生きようって思っています。

言葉を変えると、歓喜している人って、みたまが作り出したものの中で、最高の状態だと思うんです。自然はいつも歓喜していると思うし。だとすると自分がその状態でいることが貢献なんです。結局全てと繋がっているんですから。何か行動することも大事だけど、何かをする前に喜んでやっているかどうか、面白がっているかどうか。そっちの方が大事だと思っています。

テンプル ──

自然が友達で、自然は自分のことを大好きだ!って思えるのはいいですねぇ。「みたまが本体」という確信は、日ごと、年ごとに深まり、今も深まっている過程なんですね。

入江 ──

そうなんです!もう面白くてしかたないです。宇宙の全ての情報には、いつでも繋がれるし、必要な情報はいつでも受け取れる。それが分かった瞬間、幼い頃持っていた万能感の私に戻れたんです。とはいえ、一瞬で元の木阿弥の頭でっかちな入江にも戻れてしまう(笑)。だから、2つの自分がいるってことなんですよね。ミッションを生きる自分と、それを止める自分の2つが自覚できるようになった、ということですね。