入江富美子氏のタイトル

Interview

テンプル ──

ホメオスタシス(恒常性)という働きが私たちにはあり、何か変化しても元の自分に戻ろうとする働きが生まれますよね。今、ふーちゃんは「みたまが本体」っていうのがデフォルトで、そうじゃない自分、肉的な自分は小さいと思うけど、最初の頃は「みたまが本体」の度合は小さくて、肉的な自分の割合が大きかったと思うけど、それはどうです?

入江 ──

おっしゃるとおりです。だからすぐにみたまを見失う(笑)。そのおかげで、なぜ見失うのか、どうやったらもう一度みたまの視点を復活できるのかの戻し方の達人になれました(笑)。最初は「みたまが本体」の意識は、ほんと、風で吹き飛ぶほど小っちゃかったです。

テンプル ──

この18年で、その比率がどんどん逆転していって、今のふーちゃんになった。

入江 ──

そうなんですよ。想像もできませんでした。私は一生喜べることなんてないって本気で思っていましたから。「みたまで生きる」と言うのは、最初は99対1の1、もっと少なくて99.95と0.05だったかもしれない。それほど、ごくわずかだった。今のパーセントは分からないけど、ずれてもみたまに戻りやすくはなっています。機嫌が悪いとか落ちこむことはないですね。なぜ戻りやすくなったかと言うと、頭を外せたからだと思います。

頭を外すこと、これを徹底的にやりました。20代の時に10年師事した野口整体の師匠から頂いた言葉は今でも大事にしています。

ある時、野口整体の操法の練習で、目の前に寝ている方に「当てずっぽうで命が満ちているところに手を当てなさい」と言われたんです。でも、その当てずっぽうが出来ない。当時、ボディーワークなどいろいろ学んでいた時なので、知識が入りすぎて頭がうるさい。だから、当てずっぽうに触るふりをしたとき、先生が「うーん、作為でいっぱいだ」とおっしゃったんです。バレてますかーという感じで、この世界は嘘がつけない。その時に「あなたはまず知識を捨てなさい」と言われたんです。あなたに一番大事なのは知識を捨てることだと。

テンプル ──

アロマや気功の師匠、伊勢の中山靖雄先生や牧師先生も含め、ふーちゃんは、いい師匠に出会って、その師匠の言うことを素直に実行した、というのも大きいんじゃないかなと思います。

入江 ──

本当に恵まれました。奥深くで真実を実践している方に出会えたことは大きな財産です。特に「あなた、それをへそと言うんだよ。それはみたまなんだよ」と教えて下さった中山靖雄先生と出会えなければ、自分に起こったことが、へそやみたまという事は知らないままでした。中山先生からも「知識を棚に上げなさい」と同じこと言われましたね。知識は人に何かを伝える時に大事だから学ぶことはすごく大事。だけど、自分が何かを感じる時は知らない方がいい。「頭からっぽ、心なし」にたどり着きなさい。この教えが私にとっては一番役に立ちました。

テンプル ──

私はそこは耳が痛い。山のように本を読み続けているから(苦笑)。今、思い出したのは、まだ広島に住んでいる20代の頃、ある朝仕事に行こうと道を歩いていたら、前日とは空気感が全く違って、花壇の植木の緑や花が本当にキラキラと輝いていて、自分を取り巻く全てのものがいつもの100倍クリアに見えたことがあったんです。でも、午前中の仕事をしてランチに外に出たら、もうその世界は終わっていました。もしかしたらあの朝、私は命が満ちているところに気がつくモードに入っていたのかもしれませんねぇ。

入江 ──

絶対そうだと思います。私も同じような体験をしています。同じ地球にいながら違う地球を見る感覚ですよね。面白いですよね。

テンプル ──

ところで、映画を作る前、「海外」というキーワードが最初あったと言われていましたが、その後「海外」というのはどういう意味だったか判明したんですか?

入江 ──

まだ分からないですね。でも、大きなものに触れるって大事だと思います。自分のちっぽけさを知る体験ですね。

イギリスのストーンヘンジに行った時のことです。世界中の人たちが夏至のお祈りに集まっていました。いつもは立ち入り禁止になっている中心の岩の中まで入ることができて、さすがにその場のパワーを感じました。その中心でみなさんが演奏したり笑ったり歌ったり踊ったりしている輪の中に入ったとき、人が喜んでいるその喜びに反応して、その場のパワーが天に上がっていくのが分かったんです。

天に上がったものが、また戻ってきて人の中で相互に響き合っているというか、きれいに掻きまぜられるというか。良きエネルギーが人の喜びに沿って掻き回されている様子を見た時に、どんなパワースポットも、どんな大自然のエネルギーも、その力を循環させたり繋ぎ直したり、もう一度使えるエネルギーにするのは人だというのを感じたんです。

世界中にパワースポットと呼ばれる場所がありますが、そういう場所はパワーはあっても、働きの循環が止まっているところがあります。そういうところは、喜んでいる人間が行くことで初めて循環が生まれます。一度天に還って、再度、地に戻って再生されていきます。そういう循環と増幅作用が土地のエネルギーには必要なので、人が動く必要があると自分の中で納得できました。

遺跡の前に立つ入江さん

それからは、そんな意識で旅をしてきて、各地で「やっぱりそうだった、どんなパワーのあるところも、喜んでいる人がいると、変化するし、循環する」という体感をし始めたんですね。これが昔からある各地のお祭りの大事な部分なんじゃないかと感じています。

あと、ある方が私を見てこう教えてくださったことがあります。 「あなたは日本人の質を色濃く持っています。なので、海外に出た方がいいんです」と。「え?日本人らしい人は日本がいいんじゃないですか?」とお聞きすると、「日本人らしい人は、日本にいると無意識に自分を抑えてしまう。海外だと本来の自分の良さを出せるので、日本人らしい人ほど海外がいいんです」と言われて納得したことがあります。海外に住まわれている日本人の方ほど、日本人らしいのかもしれませんね。

気づけば、映画と共に、色んな国にツアーで行くようになったり、みたまの歓喜や喜びを海外の方にもお伝えするようになり私自身も変わりました。日本はもちろん、海外に住まれている日本人のみなさんも、本当に日本を大事に思われているので、みたまの感覚を思い出された時の、感動や現実の変化の速さに驚いています。だから、海外在住の日本人の方にみたまをお伝えすることも楽しみのひとつです。