森 美智代さんのタイトル 

第23回
森 美智代 氏

もり みちよ

1962年生まれ。

短大卒業後、養護教諭として大阪府で勤務中に難病の脊髄小脳変性症を発病。以来西式甲田健康法を実践し、難病を克服。その後、鍼灸学校に入り、鍼灸師の免許を取得。現在、大阪府八尾市で森鍼灸院を開業。1日約50キロカロリー青汁1杯とサプリメントだけの生活を22年間(2018年現在)続けている。

著書に『食べること、やめました』、町田宗鳳氏との共著に『「ありがとう」をいうと超健康になる』『食べない人たち』『食べない人たち ビヨンド』秋山佳胤、山田鷹夫共著『おうち断食で病気は治る』(ともにマキノ出版刊)『「食べない」生き方』サンマーク出版刊 『新装版 断食の教科書』ヒカルランド刊

 鍼灸院のHP http://www004.upp.so-net.ne.jp/mori-harikyu

Interview

テンプル ──

森先生が、一般的な食生活ではなく、1日、青汁一杯だけを飲む食生活になって今年で22年と伺っています。なぜ青汁一杯の生活が始まったのか、それはどうしてだったのか。青汁1杯の食生活がスタートするまでのお話をまずはお聞かせいただけますか?

森 ──

私は短大を卒業したあと、大阪の学校の保健室の先生になりました。ところが、仕事を始めて1年未満で病気を発病してしまいました。学校で働きだすと毎日給食がありました。さらに学校というところは行事が多く、行事が終わるたびに夜は食事会となり、それに全部付き合っていたら体調を崩してしまいました。

脊髄小脳変性症という病気です。糖尿病や高血圧みたいに食生活が原因で罹る病気ではないし、多くの方がかかる病気でもないんですが、私自身は、仕事を始めた後の食生活の急激な変化によって発症したのかもと感じています。かといって、甲田療法で生菜食や断食を始めて、すぐに症状が良くなったわけでもありません。

私は甲田療法の甲田先生に初めてお会いしたのは16歳の時で、この時、甲田先生から西式健康法の手ほどきを受けています。1日2食にする、生水を飲む、柿茶を飲む、木の枕を使って板の上で寝る、辛子湿布をするといったようなことです。ですから学校で働いていたときも、西式健康法も甲田先生も知っていました。でも仕事上の付き合いもあり、西式の健康法を実践する余裕もなく、そのうち体がフラフラし始めました。

原因は全くわかりませんでした。いくつもの病院を回りましたが、どこも原因も病名もわからず、最終的に阪大の神経内科に行きました。そこはパーキンソンや筋ジストロフィー、ALS といった方が受診される神経系の専門科です。今から30年前のことですけども、当時はまだどこにもMRI はなく、大阪にもまだ2台しかCT スキャンがありませんでした。長い順番待ちがあってCTを受けるまで1か月以上かかりました。そこで1センチ間隔の輪切りの脳を見たら、小脳が小さくなっていました。この病気は、独特の歩行困難があり、酩酊歩行などの運動障害が顕著だったので、ようやくそこで病名が判明しました。

テンプル ──

西洋医学では今もこの病気は治療法がないそうですよね。だから甲田先生のクリニックに行かれた。

森 ──

甲田先生の所に行ったところ「森さん、宿便が溜まっていますね」と。「いえいえ先生、私が悪いところは小脳で、腸ではありません」と先生には伝えたんですけども「断食すれば治るよ」ということで、断食を始めることになりました。

ところが、断食をするといったんは症状が良くなるんですが、また食べ始めると悪くなる。私がかかった脊髄小脳変性症は継続的に断食をする必要があり、時々の断食では、新たに出来た細胞が死んでしまう。そういうことがあるようでした。ちょっとデトックスをして治るという病気ではなかったんです。甲田先生のもとで、断食をしたり普通の食事に戻ったりということを繰り返したんですけど、仕事をしながら長期の断食をするのは難しく、学校を辞めて甲田先生の病院に半年ほど入院をすることにしました。そこで、21日間の断食を行ったんですが、かなり歩きやすくなりました。2度目の長い断食が終わった後、甲田先生から普通の食事だと症状が進んでしまうから普通の食事に戻さないで、その後は生菜食で、というメニューになりました。

難病根治の秘法は、生菜食と断食だと言われています。これまでは断食だけを行ってきましたが生菜食も、ということになりました。私が陰性体質だったので断食が合うのではと甲田先生は思われたようですが、断食してもその後症状が戻ってしまうので、生菜食を始めようということになりました。 森さんと甲田先生

テンプル ──

「断食」というのは水だけ飲んで行う完全断食のことですか?

森 ──

甲田式の断食は、すまし汁を飲む「すまし断食」と寒天を使う「寒天断食」をやります。塩分も糖分もとりますから、1日200kcalの摂取量があります。

テンプル ──

とはいえ、通常、大人の必要カロリーがだいたい2000kcalほどですから、200kcalというのは、1/10ということになりますよね。

森 ──

1日200kcalくらい摂取すると、低血糖になりにくく、筋肉も溶けにくくなります。胃と腸が動くので腸の調子も良いし、宿便が出やすいうえ、断食後の回復も容易になります。長く完全断食をすると筋肉が弱ってしまい、普通の生活に戻るまでのリハビリ期間が必要になります。