森 美智代さんのタイトル 

Interview

テンプル ──

ところで、私たちが日常的に感じるような「これ食べたい、あれ食べたい」という欲求はもうないですか?

森 ──

そういう食欲はもうないです。

テンプル ──

私自身、甘いものを食べなくなって長いので、デパ地下のスイーツコーナーの前を通りかかっても全く興味がわかないですし、肉は物心ついたときから全く食べられないので、肉料理はそもそも私の人生にはないんです。だから同じ感覚なのかなぁと想像はしたんですけどレベルは違いますよね。

森 ──

花や野菜を育てるのが趣味なんで、その野菜や花たちと繋がっていたいという気持ちがあります。だから少し野菜を口にする、というのは私にとっては野菜たちと繋がる方法なんです。

人は、お腹が空くから食べたくなるんでしょうかね。お腹が空かなくても食べたい人もいますよね。もっともっと、という気持ちが食欲になるんじゃないかと思います。

テンプル ──

身体の生存欲求ではなく、感情からの欲求で食べているのかもしれませんね。

森 ──

例えば、珍しい高級食材で滅多に食べられないとか、誰か有名なシェフが作ったものとか、どこどこの名産であるとか、なんかそれを聞くと食べたくなってしまうんですよね。ということは、お腹が空くのとは関係ない欲求ですよね。

テンプル ──

満たされない何かを満たそうする代用行為なのかもしれませんね、私たちの食欲は・・・。そういえば、森先生の本に、毎日幸せ感が続くし、願うとすぐに叶うし、あんまり願いが叶うから何も思わないようにしてると書いてありましたね。 多くの女性が甘いスイーツを食べて幸せを感じようとしているのに、その幸せ感はつかの間ですぐに消えてしまい、またスイーツを食べてしまう。一方、何も食べない森先生の幸せ感はずっと続く、というのは皮肉ではあります。

森 ──

私はいつも幸せだし、うっかり何か言ってしまうとすぐに願いが叶ってしまうので、何も言わない方が忙しくならなくていいかなぁと。

テンプル ──

それは食べないことと関係している感じがしますか?

森 ──

どうなのか、ほんとのところはよく分かりません。でも、食べないからかもとは思っています。昔から、少食は運を良くすると言われていますよね。

テンプル ──

食べるという行為は、実際、他の命を戴いているということですよね。特に食肉は食べるために動物を育て、その命を奪わないと食べられないわけですし・・・。食べる量が少なければ殺生も少ないし、余ったものを廃棄することもないので、確かに小食は徳を積む行為ですよね。観相学の大家、水野南北も「小食は開運の極意」だと言っていましたし。

そういえば、森先生は他にも、たくさんの神秘体験をされていらっしゃいますが、それも青汁一杯の食生活になった後で始まったことですか?

森 ──

手で人を癒せるようになったのは16歳の頃で、18歳で断食をした時にはオーラが見えるようになりました。25歳の頃からは自動書記も始まりました 。色んな不思議なことはありますが、確かに青汁を飲み始めた後から加速しているかもしれません。

テンプル ──

白鳥監督も森先生の断食合宿に参加した折にオーラが見えたり、植物とコミュニケーションできたそうですね。食を断つと、普段眠っている能力のスイッチが入るんでしょうかね。 畑のハーブ

森 ──

スイッチが入ると思います。食を断つことで生まれる能力は、私と同じとは限らないですけど。人はそれぞれ何か能力があって、音楽かもしれないし絵を描くことかもしれません。断食やアーユルヴェーダのパンチャカルマを受けた直後は、絵を描く人だったら神の臨在を感じるような絵を描くようになるかもしれません。いずれにしても、食を減らすとその人が持っている潜在能力が高まるのは確かだと思います。

テンプル ──

ということは、一人一人が持っている潜在能力を引き出す方法の1つとして、断食や小食はとても有効だということも言えますね。そして、小食しようとすると、何を食べるかがとても重要になりますよね。どんなに好きでも、肉やケーキでは小食はできませんし。

森 ──

食べ過ぎて疲れてグダグダの自分ではなく、明日も元気にいるために小食を心がける。本当の自分に出会うためにデトックスする。そして、意識をクリアにしたり、野性的な本能を出したいときは、断食はとてもいいと思います。

テンプル ──

先ほど宿便の話が出ましたが、私たちは断食すると普段の排泄とは違う、悪臭漂うナニモノかが出てきますよね。ということは、体内で腐敗したり酸化した老廃物が浸みこんだ細胞で私たちは生きている。そんな自分しか知らないからそんなもんだと思っていますが、もっと細胞が浄化され意識もクリアになれば、別の次元の意識と身体になっていくのかもしれないですね。残念なことに、それに気がつかないまま私たちは一生を終えてしまいますけど。

森 ──

天使の声であれ、魂からの声であれ、あるいは道端のタンポポの声であれ、みんなそれが聴ける状態ではないですよね。目の前の仕事に追われているし、たくさん食べれば体は消化吸収にすごく忙しい。でも何も食べないとそういった活動はほとんどしなくなるので内臓はすごく楽になります。体に余裕があるので仕事にも余裕が出てきます。そうすると、いつもは感じられない繊細で微妙な声を聴けるようになるかもしれません。

テンプル ──

それに、食べる事って意外と時間を取りますよね。買い物して作って食べて片付けて…。食べなければそういった時間は不要になります。不食や超小食の方の課題は、食べないことで生まれた時間をどのように過ごすか、ということみたいですね。食べなくなると睡眠時間も短くて済むので、1日20時間くらいが「活動時間」になりますし。森先生の睡眠時間も確か3時間ほどですよね。

森 ──

食べるためには働かなくてはいけないってよく言いますけど、食べなくて良ければ、嫌な仕事を無理にすることはなくなりますよね。人を騙すような仕事もなかにはありますよね。そんな自分の魂を売るような仕事はしなくてもよくなります。自分のしたい仕事をすればいいし、ワクワクする仕事をして、それがお金になれば幸せなことです。

食べなくても大丈夫になったら、心配とか欲望の持っていき方が違うので、ストレスによる病気には罹りにくくなります。運も良くなるので、事故にも遭わないかもしれません。人間ドックに行ってあれこれ検査する必要もないし、高い医療費保険をかけて病気に備えることもなくなります。

食べないから外食もしないし、綺麗な洋服を着たり、大きな家に住みたいという欲もなくなります。何を着てもどこに住んでもいいやって。私の場合、結婚もせず子供もいないので、本当に自由に生活しています。食べなくなって、困ったことはあまりないです。何かのため、将来に蓄えようという発想もないです。