ジュリアン・シャムルワさんのタイトル 

Interview

テンプル ──

本当にその通り。でも私を含めて多くの人は、『○○したい』という願いがあっても、次の瞬間にはすぐに『でもそんなことやっぱり無理』と思ってしまうことが多いような気がします。この本には、『思いを持って宇宙に投げかける、つまり宇宙に表明すると、宇宙が鏡のように映し返してくれる』とありましたが、なかなかそれが現実化しないのは、自分の中に否定している心があり、そちらの声の方が大きいからですよね。

ジュリアン ──

そうですね。あともう一つは、僕たちが頭で思い描いて宇宙に送っているものに対し、宇宙が返してくるのは必ずしも僕たちの期待にそうものではないということなんです。なぜなら、宇宙はもっと大きな観点から物事を見ているから。宇宙はいつもちゃんと返してくれているんですよ。『あなたはそういう小さな結果が欲しいんですね。でもこっちの方がもっといいですよ』とね。いっぽう受け取った僕たちは、『こんな結果は求めてないんだけど。ちょっと迷惑だな』とか思っている(笑)。でも、やがて時間が経ったときに、『やっぱりあの時はあれでよかったのだ』と宇宙からの恩恵に気付くかもしれません。最初の頃は分からないんですよ。要求したものとは違う形で帰ってきますから。

テンプル ──

ジュリアンは実際にそういう体験をしたことがありますか? 自分がオーダーしたのとは違ったものが届いたけれど、後で考えたらちゃんと願いが叶っていたというような。

ジュリアン ──

ええ、ありますよ。27歳の頃の話なんですが、当時の僕はフランスにしか住んだことがなく、外国人の友達から海外での体験談を聞くたびに、僕もそのうちに国外に出てみたいと思っていました。その頃はまわりでこれから中国の時代になるという話題でもちきりだったので、それなら中国に行こうということで、さっそく中国語の勉強を開始しました。中国語を話せる友達がたまたま台湾人ばかりだったので、中国大陸ではなく台湾に行くことに決めました。最初は留学生として渡航しようとしていたんですが、ある日、友達が『フランスにいる間に台湾でできる仕事をネットで見つけたら?』と僕に言ったのです。確かにそれは理想的だなとは思ったものの、そんなことは不可能だろうと留学生として手続きを始めた矢先、突然一通のメールが届きました。

それは、『教師交換のプログラムに参加しませんか?』というものでした。具体的には、教師を目指している学生が台湾に行き、そこで教授のアシスタントとしての経験をするというようなプログラムで、まさに僕にとってうってつけの内容だったのです。もちろんすぐさまOKを出したのは言うまでもありません。理想を言えば台湾で仕事をしたかったけれど、それは叶わないだろうと小さい扉から入ろうとしていたときに、別の大きな扉が開いたという感じでしたね。 ジュリアン台湾時代

テンプル ──

宇宙はジュリアンが思っていたより遙かに良い条件で台湾留学をセッティングしてくれたというわけですよね。どうしてそんな風にうまくいったんでしょうね。宇宙の意思に沿っている願いは叶いやすいといわれますが、そういうことだったのかしら。

ジュリアン ──

どうでしょう。ただ、僕は何かやりたいことが出てきたときに、まず一度頭をクリアにしてからその願いを宇宙に向けて発信するようにしています。ワンネス体験をしてから、宇宙とアクセスする感覚をつかみやすくなっているのは確かですね。

テンプル ──

ワンネス体験をしていない私たちはどうしたらいいんでしょう(笑)。

ジュリアン ──

鏡を使うのはいい方法だと思います。鏡を使って自己催眠をかけるんです。僕が以前よくやっていたのが、自分の脳に向かって語りかけるという方法。というのも、自分に起きている出来事は、すべて脳の反応によるものだと気が付いたからです。具体的には、夜になったら鏡の前で目を見て、『今日の出来事はあなたがこういう風に反応をしたから起きたことなんだよ。だから、その行動自体をこれから変えましょう』と鏡の中にいる自分の目を見ながらゆっくりと語りかけるんです。『分ったかい?』と。その効果は状況によってまちまちですが、おおむねいい結果を得られたように思います。

テンプル ──

確かに鏡は、かがみの中から「我=が」をとると「かみ=神」だと言われているように、日本では神社の御神体としてまつられていますし、それに映る自分の姿自体が神であるともいわれています。鏡に向かって言うということは、結局、神でもいいし宇宙でもいいけれど、そういう大いなる存在に言っているのと同じことかもしれませんね。

ジュリアン ──

なるほど。そうかもしれません。

テンプル ──

ところでジュリアンは宇宙にアクセスするのはもちろん、宇宙人や霊、スピリットガイドに繋がって、彼らのエネルギーを感じたりメッセージを聞いたりもするんですよね。

ジュリアン ──

聞くことはできるけれど、聞きたいわけではないですね。はっきり言って、僕からアプローチはしたくはないです(笑)。神でも宇宙人でもガイド……、どの存在に対しても。

テンプル ──

それはなぜですか?

ジュリアン ──

いろいろこの三次元世界でやりたいことがあるし、自分の人生では、まずそれを優先したいからです。それでも途中でスピリットからのアプローチがくるんですよ。だからそのときに一応彼らの伝えたいことをメモしておいて、あとで対処するんです。本にはアニヤという友達のスピリットガイドのエピソードを書いていますが、僕はこの世界にそういう存在はいないものだと思っていたので、はじめはかなり戸惑いました。結局そのスピリットはアニヤをサポートするためにやって来たのだけれど、うまくコミュニケーションがとれなかったので、彼女に直接伝えてくれる人を探していたところに私がいたというわけです。それ以来、そのスピリットがひんぱんに僕のところに来るようになってしまってとても大変でした。だから、もうそういうことをするのはやめようと思ったのです。

テンプル ──

それは彼らの思いが一方的に心に入ってくる感じですか? あるいはチャネリング?それともスピリット達と会話する感じですか?

ジュリアン ──

アニヤの例で言えば、伝えたい内容が一度に全部、心を通じて頭に入ってきました。彼女のガイドは、僕が彼らに対して疑いの気持ちを抱いていると分かっていたと思いますが、ある日、アニヤと電話していた時に僕のアパートに現れてきました。玄関のドアを通って、そのすぐ近くのキッチンで電話しながら料理をしていた僕に素早く近付いてきて彼女の手を僕の左肩に置いてきました。するとアニヤに伝えたいメッセージが聞こえてきたのです。言葉ではなく『思い』が伝わってきた感じでした。