白鳥 哲さんのタイトル

Interview

テンプル ──

とはいえ劇場用映画はそれまで作られてきた短編以上の情熱とエネルギーが必要ですよね。製作費やスタッフはどうやって集めたんですか?

白鳥 ──

すでにいくつか映画を撮っていましたので、資金は少しずつ集まってました。「次回作はストーンエイジ」という予告も入れたりして・・・。そしたらお金を出してもいいよという方が現れて、資金的には映画を作る準備は出来始めていました。 当時、日本では映画を1本作るのに4億必要だと言われていました。ドキュメンタリーではなく、最初から劇映画を作る予定でしたので、キャストを集めて資金を集めて・・・というところからスタートしたんですが、まだその時には自分自身にまだ大きな映画を作る土俵が出来ていませんでした。

テンプル ──

白鳥監督は、どちらかというとシャイで繊細な方のようにお見受けします。企業回りをして社長さんの前で資金集めのプレゼンするようにも思えませんし、どうやってその情熱を伝えられたのか、ちょっと不思議でした・・・。

白鳥 ──

そうなんですよ。私は内気だし人前でプレゼンなんてできる人間ではないので、どう行動すればいいのか、常に葛藤がありました。でも地球を救いたい、人類を救いたい、そういう思いがずっとあったんです。

テンプル ──

それは、過去生から来ている思いなんでしょうか。

白鳥 ──

はい。それは後から気づきました。常に何かに動かされるんです。このままではいけない。その思いが湧き上がってくるんです。『ストーンエイジ』を作るときも宮古島に行って、勇気を振り絞って舩井先生にお手紙を書いて、そしたらお返事をいただいて・・・。これは幸先がいいぞ、この先に何があるのかなという期待で制作をスタートし始めていました。

ところが新城さんに企画書を送り、いざ映画を作ろうとした時、新城さんに「白鳥さん、石が映画を作ってはならぬと言っている」と言われたんです。

テンプル ──

え~、そんなぁって感じですよねぇ。

白鳥 ──

もうガクガクガクっと。自分の思いは間違ってるのではないかとすごくショックを受けました。でも、映画そのものを否定されてるわけではないという気がしたんです。というのは、「作っちゃならぬ」と言いながら、新城さんはニコニコされている。これは何かあるに違いないと感じました。

不調和なことがあった時に、そこには必ず意味があると思っています。準備が足りない、満ちてないものがあるなど、何か理由があるはずです。この時にも理由を探しました。そして、自分には、まだ足りてない部分があることに気がつきました。

1999年に『水からの伝言』という本を読んでいました。この内容を映画にしたいと思ってもいました。石のこと、石にまつわる水のことをちゃんと勉強しなければならないと気づきました。そうやって勉強しているうちに、様々な人との出会いがあり、また、あれよあれよという間に資金が集まってきました。

資金もいろんな積み重ねなんですね。決意に至る過程で学びが必要でした。欠けてるものが何なのか真摯に受け入れ、それに向かって集中していると、その過程で何かが変わってくるんです。石と水の勉強を始めた後『水からの伝言』の著者、江本勝さんと出会いました。スポンサーになって下さった方との出会いもありました。

演劇スクールでアルバイトをしないかというお話をいただき、映画の資金が必要ですからアルバイトに行ったら、そこで「映画撮ってるの?今映画になる企画を探してるんだよ」と言われたんです。たまたま企画書を持っており、お渡ししたら、この映画にお金を出すよ、ということになったんです。

『ストーンエイジ』は、背後には石と水と意識がテーマにありましたが、表のテーマは、引きこもりの青年が心を開いていく、というドラマでした。その方は、うつ病や引きこもりに問題意識をお持ちの方だったんですね。

結果、4社ほど大きな会社がスポンサーについて下さり、大々的にオーディションも行い、『ストーンエイジ』という映画が生まれました。

映画完成後、宮古島に凱旋上映に行きました。新城さんのお宅にご挨拶に伺うと、石の様子ががらりと変わっていました。新城さんはまた新たに石を掘り当てていたんです。穴の中で石を掘り起こしていらっしゃる新城さんが私にこう言いました。「なぜ神は私に新たな石を掘らせたがってるんだと思う?」と。

映画撮影中、何度も何度も私は新城さんのお庭に入って、撮影許可を頂こうとしました。でも行くたびに石との問答が続きました。新城さんが掘った石を手に持たされて「石が何と言ってるのか」と聞かれるのです。「体が熱くなります」「喉が痛くなります」というような問答が毎回ありまして、映画の小道具としてそこの石を使わせてもらえないかという提案もしたんですが、何度尋ねても空振りで帰ることになりました。

映画『ストーンエイジ』映画ポスター

映画が完成し宮古島で上映した時、私は新城さんの質問に「石を新しく掘ることで、新しい時代ができて行く。そういったメッセージだと思います」と答えました。

その時、新城さんは、いつも持ち歩いていた石を私に手渡して「この石は、あなたのような人に差し上げます」と下さいました。「あなたのような方が、これからの時代を作っていくんですね」と、初めて石をいただいたんです。これは、何か大切なものを託されたんだなと感じました。

後で新城さんのお付きの方から「新城さんは石を人にあげるような人ではありません」と言われました。白鳥さんに渡したのは『陰の石』です。やがて『陽の石』を取りに来る時が来るでしょうとも。その時から人生のスピード、映画を作るスピードが急激に上がりました。

後に『陽の石』も頂きに行く時が来るんですが、石が何を伝えたかったのか・・・。やはり石は地球の記憶に関係していますから、地球の記憶に関する何かをその時授かったんだろうなと思います。

テンプル ──

『ストーンエイジ』には新城さんの庭の石は登場してこないんですか?

白鳥 ──

帯岩と言う、違った場所にあった石が登場します。『ストーンエイジ』について、これほど語ったのは今回初めてですが、今、話しながら、なぜあの石を託されたのか、ちょっと考えていました。

石が持つ力を学ぶようになって、人類がかつて石を使っていた時代の、その記憶が呼び覚まされる時期がやがて来るだろうと思っています。

テンプル ──

私は広島出身なんですが、広島に大きな磐座(いわくら)がある山があります。そこは私有地なので、なかなか入れない場所ではあるんですが、あるサイキックの方が、かつて人々は、その磐座を使って世界中と、あるいは宇宙と交信してしてたように感じる、と言われていました。

現代に生きる私たちは、石を単なる固い物質としか認識していませんし、石も黙ったままなので、まさか石に意思があるとは思っていませんが、もし、古代の人々がもっていたような石との関係性を取り戻せたら、私たちは石を通じてもっと地球と話ができるんじゃないかと思います。

白鳥 ──

私もそう思います。実際、ケイシーのリーディングにはそういった石や水のこと、意識のことが書かれていることを後に知るんです。

映画を通じて石や水のことを勉強しました。例えば、私はアメジストを持っていますが、アメジストは感情とリンクしているので、感情が吐き出しやすくなります。タイガーアイに触れると物質的なエネルギーに共鳴しやすくなります。石は人間のエネルギーに働きかける力があることを学びましたし、石はちゃんと意思を持っている。

テンプル ──

日本語は面白いですよね。意思をもっているから石なんですかね。

白鳥 ──

私は小さい頃から映画を撮りたいと思っていました。映画を通じて人類を覚醒に導きたいと思っていました。その思いにあの時、発火スイッチが入ったと思います。