山田周生氏のタイトル

Interview

テンプル ──

先ほどのエピソードの場合、ここに船が来ればいいのにと願ってないのに船がタイミングよくやって来て、ヘリコプターが飛んでくればいいのにと願ってないのにヘリコプターが来たわけですよね。

周生 ──

船が欲しいと思って馬が来たら、これは違うとスルーしてしまいますよね。でも僕が思っているのは「この素晴らしいドラマや瞬間を写真に撮り、感動を多くの人々に伝えたい」ということ。なので、そのために必要なものと目が合うんですよ。皆さんも、自分が気になっているものは目に入ってきますよね。その設定をモノではなく、人生そのものにセットしておくと、目に入ってくるもの、やってくるものが違ってくるのではないでしょうか。何も来ないと思っている人は、自分で間口を狭めているのかもしれません。

テンプル ──

ケイシーのリーディングに「すべての祈りは聞き届けられる。しかし神に、その答え方を指示してはならない」というのがあります。私たちはきっと、神様に答え方を指示しているんでしょうね。

周生 ──

宇宙は最善を用意してくれていると考えてみてはどうでしょう。そして僕たちの目の前に地球という最善の惑星がある。せっかく用意してくれた地球なのだから行きたいところへ行き、生きたい生き方を試してみてはどうでしょう。

僕は地球を散々走りました。砂漠、北極圏、都市、先住民の住む地、どこを走っても、何故か以前から知っている感じがする場所ばかりで違和感がありませんでした。その地域や場所として分けて見るのではなく、みんな地球という場所なのだと感じるようになりました。地球で、毎日、どんな場所でも、(エキサイティングな)ドラマが起きていて、どの世界でも、どの地でもそこに溶け込んで暮らしている自分自身を感じることができました。地球上のどこでも生きていける気がします。今はご縁あって東北の地で暮らしていますが。

テンプル ──

地球全てが周生さんのフィールドであり、故郷って感じですね。

周生 ──

サハラ砂漠にはアポカリプスのようなすごい砂丘群があるんですよ。砂がフカフカでバイクが埋まってしまって1メートルも進めない。それはダカール・ラリーの取材で行っていたんですが、夜その砂丘群にそこらじゅう車やバイクが埋まってもがいていました。ある意味、地獄でした。さらに砂丘の表面は何百台というラリーカーが走って砂丘を荒らしてボコボコの畑のようになっている。あと400 km 走らなくてはいけないのに・・・。

どうしても超えられない砂丘に「ごめんなさい」と謝ったんです。「僕がおごっていました」と。それから、急になぜかスルスル走れるようになりました。砂丘に自然に逆らわない楽に走れるルートが見えるようになってきたんです。

自然に敬意を持って謝ったことが大きかったと思います。自分の力だけで走ろう、自分は何でもできると思っているうちは走らせてもらえない。砂の形状は重力や風によってできています。だから砂丘や自然の力、重力の力を借りる。そうすると、自然に逆らわないルートが見えてきます。

砂漠を走るラリー車

モンゴルでラリーがあった時も、多くのライダーがゴビ砂漠に埋まって抜け出せなくなっていました。主催者側もあまりの遭難者続出に救出が難しいと頭を痛めていました。ラリー中なので、規則上直接、カメラマンが手を差し伸べることはできない。だから、直接手は貸さないが自力で脱出できる方法を示唆という形で教えて助けることにしました。自然に逆らわないルートを会話の中で何気なくほのめかしたり・・・。例えば、ゴールが西にあるとすると、砂に埋まって勾配が高い西に向かって進もうとします。でも考え方を変えていったん砂丘の低い方向に大回りして行くとか、砂を登ろうとするのではなく逆の方向に下りて楽なルートを探してみるとか発想の転換が必要なのです。

埋まったバイクのタイヤも、穴を掘ろうとすると、かえってどんどん砂に埋もれてしまいます。そこでバイクを一度倒して寝かせ、ある意味砂漠に降参して=リセットするとタイヤが自然と浮き上がってきます。その後でバイクを起こすとタイヤは砂の上に出ると言うわけです。焦ったり余裕がないと周りの状況を冷静に見えなくするんですね。自然があまりにも大きく、壮大な壁にぶち当たるとメンタルがやられることがあります。戦うのではなく、走らせていただく、生かさせていただくという謙虚さ、敬意が、自然を味方につけ、開放感や一体感につながってくるのだなぁと思います。

テンプル ──

渦中にいると、近視眼的になって全体がみえないんですよね。心の余裕も失っているし。ところで、サハラをひたすら走っている間、心の中ではどんな会話が交わされていたんでしょう。

周生 ──

バイクに一人で乗っているほとんどの時間、ずっと話をしてきたのは自分自身や地球、宇宙とでした。時には、地球の中心やバイクの中心と自分を三角形に結んで、対話し、その中心部分の位置を変えていろいろ対話する、などとやってみることもあります。面白いもので重心が変化して走りも変わるんですね。 頭中で迷いや荒れが出てくるとバイクの走りも安定しなくなり、走りがブレ出します。自分のエネルギーを最も遠い宇宙に意識を置くと自分のエネルギーを消耗しないで、ずーっと走っていられる感覚になることもありました。宇宙はすぐにバイクを通して反応してくれるので面白いです。

自分の精神状態は、バイクがセンサーになり増幅して現れてくるように思います。止まると倒れる。重力と加速と空気と風、バイクはこれらのバランスで走っているから鏡のように自分の心を写し出すようです。

テンプル ──

いきなりですが、周生さん、UFOの操縦ができるはずです(笑)。 UFOって操縦者の意識とUFOの機体が同期すると浮き上がるし自由に操れるようになるらしいんですね。今のお話を伺っていると、周生さん、UFOの操縦、簡単にできそうです(笑)。

周生 ──

そうですか。機会があればUFOの操縦してみたいなぁ(笑)。