山田周生氏のタイトル

Interview

今後の日本での活動

周生 ──

3.11の震災後、ボランティアなど多くの方々が僕のところに手伝いに来てくれました。支援活動だけでなく、せっかくここにきたのだから何かその人に必要なものを持って帰ってほしいと思い、大事にしたのは心のつながりや自然とのつながりをなるだけ体験してもらうことでした。また、お金に頼るのではなく、自分たちの手で持続可能な循環型の暮らしをここに築くことが本当の支援になると考えました。

テンプル ──

大人になって、仕事をし始めても、自分がしたいことが分からないという人が多いように感じます。若い世代だけではなく、40代、50代の方でも自分のやりたいことが分からない。そういう人にはどうアドバイスされているんですか?

周生 ──

たまに悩みを相談に来られる方が来ます。そういう時は一緒に作業を手伝ってもらうようにしています。体を使って作業をしていると、沢山の情報を受け取れますし、相手の状態がよくわかります。そしてこちらがケイシーの言う「祝福の水路」になることで、迷っている本人自ら答えをキャッチすることが多いです。思考だけが先行していて、魂が同期していない状態。そのしっくりこない状態の方と一緒に、同期するスイッチを見つけることが問題の解決につながるように思います。

釜石ハウス

この10年はある意味実験段階だったように思います。これからが本番のステージが始まる時かなと感じているところです。まずは手始めに寺子屋のようなものを作るイメージをしています。暮らしを通してエネルギーや食の自給を学び、自分の住む家を作る手法や里山里海を活用する暮らしを体験。自分でワクワクしたり、想像力を高めるような・・・。心の成長と身体のバランスに視点を置いた小規模持続可能な体験型プログラムを形にしていきたいと、そんなことを思っているところです。

テンプル ──

周生さんが何かを教えようとしなくても、周生さんのそばにいるだけで、勝手に人が変わっていくような気がします。

周生 ──

そうですね。そうできたら一番ですね。教えるというのはちょっと違うと思います。一緒に寝食をともにし、暮らすことが重要だと思っています。だから今、タイニーハウスを作ったり、古民家を改造したり、受け入れ体制を整えるために少しづつ準備を進めています。

産婦人科医の池川先生が、最近は地球で転生を繰り返しているのではなく、宇宙から直接やってきた地球外の魂、地球の未来の準備のためにやってきたような子どもが増えていると言われていました。僕も最近の子供たちを見ていると、そう思うことがよくあります。でも残念ながら、その子ども達の能力を周りの大人が潰してしまっていることがある。昔からの仕組みに当てはめて、こうしなさいとか、堅い仕事に就きなさいとか・・・。でも彼らが生まれた本当の目的はそこじゃない。なので、子どもたちの才能を止めないで、活かせるような大人がもっと増えていけばいいと思っています。

最近、「自分らしく生きる」という講座を開催しているんですが、その講座で参加者と話していると、忘れていた自分の原体験を思い出したり、やりたかったことに気がつき始めたりと、自分本来の生き方にシフトし始める人が現れています。

自分の魂に目覚める必要がある人たちに、体験を伴うワークショップを行いたいと思っています。都会の人たちはそもそも土に触れることが少ない。電気が帯電していて、アースができていないので足が地についていないのかもしれません。震災後、何千人というボランティアを受け入れてきました。その人たちと話していると、自分に空いた穴を埋めようとしている、自分探しの人がすごく多かったんですね。

でも、食糧を自分の手で育て、食べる。地域の山を整備し、間伐をすることで汗を流し、そこに暮らす。生きるベースを毎日積み重ねることでしっかりと地を踏みしめ、生きる土台を作り、山や海に行ったりしていると、その人たちのエネルギーが自然に変わっていくんです。

そういう生活を体験すると、身体の中のエネルギーがすごく回るようになっていきます。顔色、声のトーンもすごく変わっていきます。自然ともチューニングがしやすくなり、悩みが何だったのか忘れるほどになることもあります。一度、金太郎飴のような生活から抜け出し、彼らが自らの生き方を見直すために、数ヶ月滞在し一緒に暮らす・・・。そんなプログラムを実際にやってみたいと思います。

テンプル ──

人間も自然の生き物なので、ずっとコンクリートやアスファルトに囲まれた四角い箱のなかばかりで生きていると、本来の感性や感覚を失ってしまうように思います。自然から切り離されている時間があまりにも長すぎて・・・。

周生 ──

海もいいですよ。海辺でキャンプをしたり寝泊まりすると、野生の感覚がより早く取り戻せます。シーカヤックで海に出ると、自分が想像以上に広大な自然と隣り合わせにいることを実感します。僕はバイクに乗ると早いです。そんな広大な自然のそばにいると、だんだん宇宙と繋がっていきます。こういった体験は、今、なかなか持てないですよね。広大な海に接して、自然の懐で焚き火をし、星を見る。いいですよ。